私の嫁はハリーである
突然なんだと言われるかもだが紛れもない事実である。ときメモGSで一番好みの見た目をしていて、可愛らしい愛でるに相応しい性格の彼だ。
どうしてこのようなことを述べたのかと言われれば、所謂差別化というものである。
GS1では葉月珪。GS2では針谷幸之新。GS3では桜井琉夏。GS4では柊夜ノ介。というように私はとんでもねえ浮気者である。
ハリーは言わずもがな最高の推しである。琉夏は母性を擽られる男である。これも言わずもがな推しである。夜ノ介は面白え男で全てが片付いてしまう推しである。
鈴鹿くんや瑛も結構好きなのだが、鈴鹿くんは可愛らしいなと思える推しのうちの一人だし、瑛に至っては主人公との掛け合いが好きで二人の間に入りたいと一切思わない。
つまり恋愛感情が持てないやつらばっかなのである。
そしてそんな彼らの共通点は見た目や大体の性格を聞いて、気になると私が思った男なのである。
そしてこの条件に唯一当てはまらない男がいた。
それが葉月珪である。
そもそもときメモGSに詳しい友人がGS3激推し女だったため、あまりGS1に触れてこなかったのが元だと言える。ストーリーや友好以上の性格をあまり知らないということから、GS1に最初から気になる男はいなかったのだ。
強いて言うなら鈴鹿くんがいい感じだと思っていた。
GS1を購入しいざプレイしようと思ったときにまず誰を攻略するか迷ったのだが、GSシリーズに興味を持ち始めたきっかけのうるさい素敵な実況者が攻略しようとしていた葉月珪に決めた。
そこからは早かった。
初めてときメモGSをプレイするワクワクと不器用な操作、キャラの掛け合いやキャラの作り込み。全てが新鮮だった。
その中で群を抜いて際立っていたのは葉月珪という人間性であった。
私は葉月珪に堕ちた。
唯一恋愛感情を持って好きだと言えるのが葉月珪である。そして私は珪たまとラブラブの毎日を過ごしていた。
はずだった。
ある日夢を見た。
珪たまとHR前をともにしている幸せそうな私がそこにいた。しかし久しぶりに夜ノ介成分を摂取していたためか、珪たまに永遠と柊夜ノ介という男はどれほどにいいかを語り尽くしていたのである。自分の愛しくて仕方ない彼女が他の男を褒めているのはいい気分ではないものである。
そしてそのまま美術の授業に入ったのだが、離れた席にいた私の元へやってきて珪たまは一言こういった。
「珪たまって呼ぶの、
やめろ……。」
死んだ。
ノックアウトだった。そんな私のことなんて目もくれず、彼は自分の席へと戻っていってしまったのだ。隣に座っていたもう一人のGS友達が興奮したように一体何があったのだと聞いてきた。心做しか楽しそうで思い出せば腹が立つのだが、当時の私はそれどころではなかったのだろう。「わ、わかんない」と半泣き状態で落ち込んだのを昨日のように覚えている。
それから毎日珪たまに会いに行こうとしたが不幸中の不幸である。あの夢で楽しそうにしていた友人にGS1のソフトを貸していたのである。しかもその友人は全キャラやるまで返さないという女だったため、急かしても返ってきたのは半年たった11月だった。
実質あいつが私と珪たまを引き離したと言っても過言ではない。私は早く会いたかったというのに。
きっともう珪たまは私に呆れていて、友好どころか普通の好感度になっているのだろう。最悪の場合、少しの苦手意識を持たれているかもしれない。
過去の女だとしても大嫌いだとは珪たまは思わない。一度自分が惚れた相手なら馬鹿にしたり貶したりする男ではない。そういうやつだと私は知っているbyわい
でも諦めたくない。そう思わせてくるのが葉月珪という男である。
そして今、葉月珪との恋がまた始まろうとしていたのであった。